本研究で、オステオポンチン(OPN)が心筋梗塞後の組織修復時に、死細胞のクリアランスと菲薄化した梗塞巣の線維化の両方を促進するために不可欠な役割を果たし、心筋梗塞後梗塞巣特異的に増加するGalectin-3hiCD206+マクロファージが心臓におけるOPNの主な供給源であることを解明した。心筋梗塞後の心臓マクロファージにおけるSpp1(OPNをコードする遺伝子)転写活性化には、IL-10とM-CSFは相乗的に作用して心臓マクロファージのSTAT3とERKを活性化し、その結果、Galectin-3とMerTKの発現を上昇させて、OPN産生マクロファージの機能的成熟につながることが明らかになった。虚血性心不全をはじめとした心不全の予後は進行癌と同様にきわめて予後不良である。本研究では、心筋梗塞後創傷治癒過程におけるオステオポンチンの役割や産生細胞及びその分化機序を解明した。また、オステオポンチンをコントロールすることにより心筋梗塞後創傷治癒を促進し、心不全の病態を改善させる可能性を示した。
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