研究課題
申請者は本研究課題期間中に、全身でがん遺伝子の発現を誘導可能な明細胞肉腫モデルマウスを樹立し、①がんが出来ない組織では癌遺伝子誘発性細胞老化 (Oncogene Induced Senescence; OIS) が起こっていること、一方で、②がんが出来る組織ではOISの回避が起こっていることを明らかにしてきた。さらに、本研究課題最終年度では、組織特異的発がんの分子メカニズムを明らかにするため、Single-cell RNA-seqのデータ解析を取り入れる事で、明細胞肉腫の起始細胞の起始細胞で発現している転写因子が明細胞肉腫に特徴的なクロマチン構造を形成し、それが明細胞肉腫の組織特異的な発生に重要であることを明らかにした。(Komura S*, Ito K*, Nature Com., 2019)。この研究成果は、ゲノム核内空間配置の変換を伴うクロマチン構造の変化に着目する事で細胞老化を誘導し、発がんを抑制出来る可能性を示すものであり、本研究課題に取り組む上で重要な知見を得る事ができた。この知見に基づき、最終年度では所属研究室で樹立済みの明細胞肉腫を誘導可能なマウスのES細胞に、核ラミナ遺伝子 (Lmnb1)のコンディショナルKOアリルを導入し、OIS誘導発がんモデルの作製を試みたが、期間内に樹立するまでには至らなかった。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Nature communications
巻: 5;10(1):3999 ページ: 1-19
10.1038/s41467-019-11745-1