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2020 年度 実績報告書

多発性骨髄腫が分泌するエクソソームによる骨分化抑制機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K15213
研究機関広島大学

研究代表者

幾尾 真理子  広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (60713401)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードExtracellular vesicles / 多発性骨髄腫 / 骨分化 / 骨芽前駆細胞
研究実績の概要

本研究の目的は、多発性骨髄腫(Multiple myeloma, MM)が骨芽前駆細胞の骨分化を細胞外小胞(エクソソーム、Extracellualr vesicle、EV)を介して阻害するか、またその分子機構を明らかにすることである。
EVはエンドソームに由来する100 nm程度の細胞外小胞であり、細胞間情報伝達に寄与する。骨芽前駆細胞を骨分化因子BMP2で刺激すると、BMP/Smad経路の転写因子Smadが細胞質から核内に移行して骨分化因子の転写を促進する。
マウス骨芽前駆細胞またはヒト骨肉腫細胞株にMMが分泌したEV(MM-EV)を添加すると、核内に移行したSmadによる骨分化因子転写促進活性が抑制された。Smad及びEVに応答するプロモーター領域を同定し、同プロモーター領域に作用してSmadの転写促進活性を阻害する転写因子Aに着目した。マウス骨芽前駆細胞における転写因子A標的遺伝子の発現はMM-EVの添加により上昇した(マイクロアレイ法)。MM-EV中に転写因子Aタンパク質が存在した(ウェスタンブロット法)。マウス骨芽前駆細胞またはヒト骨肉腫細胞株を使って検討したところ、MM-EVを添加するとA標的遺伝子の発現が誘導された(定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)。転写因子Aを活性化するサイトカインはBMP2作用時の骨分化因子発現誘導を抑制した。MM-EV添加によって核内の転写因子Aが増加した(細胞免疫染色法)。転写因子A不可逆的阻害剤をMM-EVに作用させるとMM-EVの骨分化抑制活性が失われた。
これらの結果は、多発性骨髄腫がEVを介して骨芽前駆細胞に転写因子Aを輸送し、骨芽前駆細胞の骨分化を抑制することを示唆する(Journal of Extracellular Vesicles, in revise)。

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公開日: 2021-12-27  

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