研究実績の概要 |
本研究では、進行期非小細胞肺がん症例を対象として、がん局所の免疫微小環境が化学療法の治療効果に影響を及ぼすかどうかを明らかにする。肺がん局所の免疫微小環境を解析するため、がん性胸水検体を用いて、腫瘍局所浸潤免疫担当細胞をフローサイトメトリー法で解析した。がん性胸水45例について解析を実施した。末梢血単核球と胸水中リンパ球を比較したところ、胸水ではFoxP3+Tregの増加は認めなかったが、CTLA-4+FoxP3+Tregが増加していた。また、T細胞上のPD-1発現が著明に上昇し、一方で増殖マーカーであるKi-67+CD3は有意に低下していた。 次に、胸水細胞分画による生存解析を実施した。胸水中Treg(<4.1% vs >=4.1)、活性化Treg(<0.78 vs >=0.78)、活性化Treg上のCTLA-4(<15% vs >=15%)発現による全生存期間(OS)に有意な差は認めなかった。一方、CD4+PD-1+TIM+細胞(<4.1% vs >=4.1%) において、高発現群でOS不良であった (HR 2.6, 95%CI 1.7-7.2, OS 12 vs 5.4 months, p=0.0014) また、胸水中EpCAM+腫瘍細胞におけるPD-L1、Galectin-9発現を検討した(n=27)。PD-L1発現ごとの症例数(%)は、<1%: 1例(4%), 1-24%: 13例(48%), 25-50%: 7例(26%), >=50%: 6例(22%)であった。Galectin-9発現ごとの症例数(%)は、<1%: 3例(11%), 1-24%: 17例(63%), 25-50%: 7例(26%), >=50%: 0例(0%)であった。PD-L1, Galectin-9発現による生存解析を実施したが、発現によるOSに有意な差は認めなかった。
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