研究課題
新しい血管の構築である血管新生は生理的及び、病理的に非常に重要な生命現象である。本研究課題では血管新生の新しい分子機構の解明と、当該分子基盤に対する人為的制御剤開発を目的としている。前年度までに見出したANKFY1結合タンパク質 (分子X)に関して、ANKFY1と分子Xの結合をハイスループットに検出するアルファスクリーンの系の構築に成功した。当該系に対して、コア化合物ライブラリー (1000化合物)を供し、ANKFY1と分子Xとの結合シグナルを低下させる化合物の探索を行った。1次スクリーニングでは、約100種類のヒット化合物を見出したが、特異性を評価するために実施したカウンターアッセイ (CUL3/SPOP、CUL3/KCTD10の結合を阻害する化合物探索)の結果、1次スクリーニングでヒットした化合物の中には、ANKFY1と分子Xとの結合を特異的に阻害する化合物は存在しなかった。現在、化合物ライブラリーを変更して、再度スクリーニングを行う計画である。また、低分子化合物だけでなく、核酸アプタマーや環状ペプチド等の他のモダリティの中から、ANKFY1制御剤を開発していく必要がある。細胞レベルでの解析では、ANKFY1が種々の血管内皮細胞や癌細胞で異なる膜タンパク質の輸送を担っている事が分かった。今後は、細胞や組織毎にANKFY1の機能を詳細に解き明かしていきたい。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 533(4) ページ: 1406-1412.
10.1016/j.bbrc.2020.10.032