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2018 年度 実施状況報告書

腸管の恒常性変容によるがんの発症・進行メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K15246
研究機関熊本大学

研究代表者

堀口 晴紀  熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 特任助教 (70755454)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード大腸がん / がん免疫
研究実績の概要

本研究では、組織恒常性維持機構の破綻によるがんの発症・進展のメカニズムの解明を目的に、特にマウス大腸がんモデルを用いて解析を行なった。申請者は最近、腸管においてアンジオポエチン様因子2 (ANGPTL2)が、腸管の組織修復・恒常性維持機構に重要な役割を有していることを見出しており、ANGPTL2の機能解明により、恒常性維持機構の破綻に起因する様々な腸管疾患および大腸がんの新たな治療法や予防法の開発にもつながることを期待する。
1) 大腸炎関連がん (CAC)モデルによる解析:申請者はCACモデルであるAOM/DSSマウスモデルにおいてAngptl2 KOマウスが野生型に比べがんの数・サイズにおいて進行していることを見出した。これらの初見は内視鏡観察、肉眼観察、組織学的解析によって実施された。
2) ANGPTL2の発現解析:申請者は正常大腸組織においてANGPTL2が上皮細胞には発現せず、間質の線維芽細胞に発現していることを見出している。マウスCACモデルにおいてはANGPTL2は線維芽細胞だけでなくがん細胞にて高発現していることを明らかにした。
3) ANGPTL2によるがん進展メカニズムの解明:より簡易的にメカニズムを解明するため、申請者はシンジェニックモデルを作成した。野生型に比べAngptl2 KOマウスではがんの増大・生存期間の短縮が認められた。また、そのメカニズムとしてAngptl2 KOマウスにおいて抗腫瘍免疫が低下していることを明らかにした。
4) ANGPTL2の作用メカニズムの解明:本研究において、ANGPTL2が樹状細胞を直接的に活性化・成熟させ、その分子メカニズムを明らかにした。これによって活性化された樹状細胞がT細胞を教育し抗腫瘍免疫を制御していることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画通り、大腸発がんモデルにおける解析を実施し、ANGPTL2にがん促進作用があることを見出した。しかし、この発がんモデルは解析までに3ヶ月以上を必要とすることからメカニズム解析が容易ではなかった。そこで申請者はシンジェニックモデルを採用することにより、より簡便かつ短時間でのメカニズム解明を可能にした。

今後の研究の推進方策

2019年度では、シンジェニックモデルによって得られたメカニズムが実際に大腸発がんモデルにおいても再現されるかを確認する。またがん細胞におけるANGPTL2の発現制御機構を明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Loss of Endogenous HMGB2 Promotes Cardiac Dysfunction and Pressure Overload-induced Heart Failure in Mice2019

    • 著者名/発表者名
      Sato M, Miyata K, Tian Z, Kadomatsu T, Ujihara Y, Morinaga J, Horiguchi H, Endo M, Zhao J, Zhu S, Sugizaki T, Igata K, Muramatsu M, Minami T, Ito T, Bianchi M, Mohri S, Araki K, Node K, Oike Y
    • 雑誌名

      Circulation Journal

      巻: 83 ページ: 368-378

    • DOI

      10.1253/circj.CJ-18-0925

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of circulating ANGPTL 3, 4, and 8 levels with medical status in a population undergoing routine medical checkups: A cross-sectional study2018

    • 著者名/発表者名
      Morinaga J, Zhao J, Endo M, Kadomatsu T, Miyata K, Sugizaki T, Okadome Y, Tian Z, Horiguchi H, Miyashita K, Maruyama N, Mukoyama M, Oike Y
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 13 ページ: e0193731

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0193731

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公開日: 2019-12-27  

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