研究課題
遺伝子増幅はがん細胞で癌遺伝子や薬剤耐性遺伝子に見いだされる異常で、その発生については、染色体の断裂と融合、染色体分裂での再断裂の周期Breakage-fusion-bridge cycleが関わっていると考えられているが、発生と維持の機構の詳細は不明な点が多い。がん細胞での遺伝子増幅は「がんの発生」や「抗がん剤耐性」などに関わる悪性化に重要な異常であるものの、遺伝子の増幅の発生と維持の分子機構はよくわかっていない。本研究は抗癌剤耐性遺伝子の増幅が起こっている細胞においてある遺伝子を発現させると遺伝子増幅が減少することを見出しその減少機構について解析している。ある遺伝子をtet-onの系で発現誘導を行うと誘導後、21日~35日でRRM1遺伝子の増幅が減少することがqPCRを用いてわかった。この減少しているゲノムDNAを用いて、マイクロアレイ解析を行うと遺伝子増幅が起こっている領域が発現誘導を行っていない細胞と比べて発現誘導した細胞でRRM1のコピー数が減っていることがわかった。他の遺伝子でも同じような結果になるのかを検討中である。肺癌いではBHLHE41の発現が減少しており、発現減少が予後に関わることをデータベースからの解析で明らかにしている。肺癌細胞株においてBHLHE41の役割を解析したところ、BHLHE41が発現すると増殖が抑制した。増殖抑制の詳細な機構の解析を行ったところ。アポトーシスに関わる遺伝子の発現変化は見られず、オートファジーが関わっていることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
現時点では、順調に進んでいる。遺伝子増幅の減少が起こらない遺伝子も考えられるのである程度遺伝子増幅が起こっている細胞を準備しておく必要があるかもしれない。
MDR1などの他の抗癌剤耐性遺伝子の増幅も減少するかを検討する。またがん遺伝子であるmyc遺伝子の増幅を持つSK-N-BE細胞でも、遺伝子増幅が減少するかも検討する。発現制御機構については、ユビキチン化酵素、または正に働く転写因子について調べる。
当初予定していた研究が年度末に終わり使用予定の試薬、抗体を購入することができなかった。次年度使用額分については購入予定であった試薬や抗体に使用予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
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