肺がん患者の液体生検の実施に関して、大学倫理委員会での承認を受けたのち、臨床検体の回収を適宜実施している状況である。がん細胞株やマウスモデルを使った検討に関しても継続して行っている。 また、研究分野を肺がんのみならず乳がんでも実施、検討した。これは液体生検の活用に関して癌腫に関わらず正確な知見を検証するためである。大きなテーマとして、早期発見あるいは治療効果の指標になり得るか、について検討を進めている。 乳がん分野での検討は、トリプルネガティブ(TN)乳がんというサブポピュレーションに着目した。この患者群は一般の乳がんと比較し予後不良であるが、さらにその一部の患者群では手術後の成績が著名に改善していることがわかってきた。我々は、過去に集積した検体からDNAを回収し、次世代シーケンサーを用いた解析を行い、PI3Kの変異が予後に関係していることを明らかにした。現在は、TN乳がんと診断された患者から継時的に血液を回収し、PI3K変異に着目して検討を続けている。その中で、少数ではあるが同変異を認めた患者を確認し、現在、論文投稿中である。
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