肝の線維化には様々なシグナル経路の関与が報告されており、なかでもGalectin-3は肝臓内マクロファージであるKupffer細胞に発現しており、コラーゲン 産生細胞である肝星細胞を活性化させ肝の線維化を促進することが報告されている。我々は肝硬変におけるM2BPGiの研究から肝の星細胞がM2BPGiを産生し、 M2BPGiをメディエーターとして肝星細胞とKupffer細胞がGalectin-3を介して相互に活性化しあっていることを明らかにした。星細胞とKupffer細胞がGalectin-3 を介して相互に活性化しあうことで肝の線維化が進行するという仮説を元に、細胞内Galectin-3とも高い親和性を持つ新規Galectin-3阻害剤の星細胞に対する直接効果を検証した。肝星細胞株Lx-2に新規Galectin-3阻害剤を投与し増殖能試験を行うと、濃度依存性にLx-2の増殖が抑制された。また、Galectin-3阻害剤投与 後にLx-2の蛋白を抽出し、Western blotting法で活性化マーカーであるα-SMAの発現を検証すると、Galectin-3阻害剤投与によりα-SMAの発現の低下を認め、 Lx-2の活性化が抑制されていた。新規Galectin-3阻害剤が星細胞の活性化を抑制することが明らかとなり、肝線維化の制御に有用である可能性が示唆された。また、一方で膵癌皮下腫瘍モデルにおいても新規Galectin-3阻害剤の効果が確認され、今後肝線維化モデルへの応用が期待された
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