研究課題
本研究は小細胞肺癌患者の末梢血から末梢血循環腫瘍細胞(CTC)を抽出、培養する手技の確立および、得られた細胞を用いた遺伝子解析、薬剤感受性試験の実施、ひいては治療標的の探索を目的とする。研究計画にもとづき、まずは少数の小細胞肺癌細胞株SHP77を健常者末梢血に混入させ、RosetteSepによるCD45を主とした血球細胞をnegative selectionとして除去を行ったところ、得られた細胞はフローサイトメーターにおいてもとの細胞株と同様に上皮系マーカーEpCAMおよび神経内分泌マーカーNCAM陽性であり、白血球1x10^7あたり1x10^4の腫瘍細胞があれば血球除去後95%の純度で回収ができた。また、フローサイトメーターで検出が困難になる1x10^2の腫瘍細胞においても、分離後培養することで2週間程度で明確な腫瘍細胞塊を形成した。上記予備実験を元に、実際の小細胞肺癌患者の末梢血を当院倫理委員会で承認された研究として、文書で説明・同意を得た上で採取し、CTCの分離を試みた。末梢血中のCTCが少ないためか分離ができない症例や、末梢血白血球の分離が不十分なためか、少数ながら分離できたものの増殖が得られず死滅する場合も多かったため、分離等において複数の条件で検討したが、長期培養可能例は少なかった。しかし、抗体薬物複合体を用いた検討では、小細胞肺癌細胞株に有効であった薬剤が同様に得られたCTCでも有効であることが確認できたものがあり、CTCを用いた小細胞肺癌治療標的研究の一定の有用性が示された。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Cancer Sci.
巻: 111 ページ: 200-208
10.1111/cas.14257.