今後の研究の推進方策 |
HF10αPD-L1の作製を直ちに行い、そのPD-L1発現細胞への指向性、殺細胞効果および増殖能力を検討する。具体的には、PD-L1を強発現または欠損させたマウス膵癌細胞株PAN02およびマウス口腔扁平上皮癌細胞株SCCⅦを用いて、親株PAN02およびSCCⅦと比較し、HF10αPD-L1の増殖能の違いを確認する。HF10又はHF10αPD-L1を1, 0.1, 0.01 MOIでPD-L1強発現または欠損PAN02とSCCⅦ細胞ならびにそれら親株に感染させ、経時的に培養上清中のウイルス力価を測定し、ウイルス増殖能を調べる。さらに各細胞を96 well plateに播き、HF10又はHF10αPD-L1を1, 0.1, 0.01MOIで感染させ、経時的にMTT assayにより細胞の生存率を調べ、殺細胞能力を確認する。 PD-L1の恒常的発現が認められるヒト正常細胞株におけるHF10αPD-L1の増殖能を前述の方法を用いて親株HF10と比較しHF10αPD-L1の安全性の検討を行う。また、ICRマウスに経腹または経尾静脈で感染させ、マウスの生存率を確認する。さらに、マウスの肝臓、肺、心臓などの主要臓器からqPCRを用いてウイルスゲノムDNAを検出し、HF10αPD-L1の生体内分布を調べる。 PD-L1高発現SCCⅦをC3Hマウス皮下に植え、背中に腫瘍を2つ作製し、7 日後、片一方の腫瘍にMock(PBS)またはHF10αPD-L1もしくは親株HF10を注射する(3 日おきに3回)。継時的に腫瘍サイズとマウス体重を測定し、HF10αPD-L1の治療効果を明らかにする。また、効果の検証だけでなく、関連する免疫の変化について詳細に探求する。特にMDSC、マクロファージ、T regマーカーにより腫瘍内の免疫抑制細胞の変化を確認する。
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