研究課題/領域番号 |
18K15281
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
名越 久朗 広島大学, 病院(医), 助教 (80713924)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 難治性造血器腫瘍 / ノンコーディングRNA / PVT1 / MYC / キメラ遺伝子 |
研究実績の概要 |
研究期間中、①PVT1-MYC融合遺伝子の機能的意義を解明するために、融合遺伝子が発現していない細胞株に強制発現させ、その表現型の変化について解析することを進めた。そのため、融合遺伝子が発現している細胞株と発現していない細胞株を決定するため、 悪性リンパ腫(ML)や多発性骨髄腫(MM)の細胞株を用いて融合遺伝子PVT1-MYCの発現の有無についてreverse-transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)を用いて検討した。融合遺伝子の発現が非常に微量であるためか、通常のRT-PCRでいずれの細胞株でも発現が認められなかった。RT-PCRの条件設定(Taqポリメラーゼ、アニーリング温度、伸長反応時間、サイクル数など)を変更し、安定した結果の得られる条件を検討した。その結果、MMの細胞株2株で目的のPCR産物が得られ、ダイレクトシークエンスによりPVT1のexon 1とMYCのexon 2が融合した塩基配列であることを確認した。次に強制発現させるための融合遺伝子全長をクローニングするため、次世代シークエンス技術を用いた方法を検討した。しかし、現在我々が使用可能な方法では、融合遺伝子の塩基配列が長すぎるため、PVT1-MYC全長を同定することができないが判明した。 また、②PVT1-MYC融合遺伝子の臨床的意義を検討するために、患者検体を用いた解析ができるよう、倫理委員会承認の手続きを準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予備実験では容易にPVT1-MYCキメラ遺伝子が同定できていたが、研究開始後、RT-PCRの結果が一定せず、条件設定に苦慮している。また、キメラ遺伝子を細胞株に強制発現させ、機能解析を検討しているが、レンチウイルスに導入するキメラ遺伝子の全長をクローニングする方法が決定しない。次世代シークエンス技術でクローニングをする予定であるが、現在我々が使用可能な方法ではPVT1-MYCの全長をクローニングすることが困難である。他の方法を模索している。
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今後の研究の推進方策 |
安定してキメラ遺伝子が同定できるRT-PCRの条件設定を引き続き行う。条件設定ができれば、倫理委員会の承認を得たのちに、患者検体でPVT1-MYCキメラ遺伝子の発現について解析する。 PVT1-MYCキメラ遺伝子を強制発現させるための遺伝子導入において、キメラ遺伝子全長をクローニングする。次世代シークエンスを用いてクローニングすることを検討しており、他施設へのコンサルテーションを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
RT-PCRの結果が一定せず、安定した結果が得られる条件設定に苦慮したことや、キメラ遺伝子のクローニングが進まず、予定していた研究計画に遅れが生じており、物品の使用が少なかった。 キメラ遺伝子のクローニングのため、次世代シークエンシングを行うことや、クローニングした遺伝子をベクターに組み込む実験など、次年度にずれこんだ研究計画に次年度使用額を使用する予定である。
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