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2018 年度 実施状況報告書

世界初抗癌剤のDNA取り込み量高感度測定法を利用したTFTD感受性機序の評価

研究課題

研究課題/領域番号 18K15282
研究機関九州大学

研究代表者

中西 良太  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90771254)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード大腸癌 / TFTD / 特異的抗体 / 免疫染色 / 作用機序 / 体内動態
研究実績の概要

大腸癌における代謝拮抗薬TFTD(ロンサーフ:TAS-102)の効果発現のメカニズム解明と、新規感受性予測因子の発見による治療最適化を目指し、TFTDのヒトにおける動態、正常組織・腫瘍組織における取り込みについて検討した。具体的には、TFTDの抗腫瘍成分であるFTDの特異的抗体を用いて、TFTD投与後に腫瘍組織、非腫瘍組織を生検する機会があった症例においてFTDの発現と局在を検討した。また、TFTDを用いた1次治療のPhase II試験の附随研究として、末梢血単核球DNA内のTFTDの取り込み量の測定している。TFTD投与後の症例において腫瘍組織の細胞核にFTDの発現が認められた。TFTDの最終投与からの日数が長い症例はFTD取り込み細胞の割合が低下していた。腫瘍細胞以外の非腫瘍組織や、偶然消化管正常組織の生検を施行された症例においては、FTDは正常組織には発現していなかった。 以上の検討により、TFTD投与後のFTDの腫瘍細胞、正常細胞での発現が初めて評価され、今後の臨床への応用が示唆された。以上の結果を第119回日本外科学会定期学術集会で発表した。また、TFTDを用いた1次治療のPhase II試験の附随研究として、末梢血単核球DNA内のTFTDの取り込み量の測定については、測定は終了し、データ解析を進めている。臨床検体におけるTFTDの取り込みの実際が正常組織、腫瘍組織、末梢血単核球を用いた検討で明らかにされつつあり、今後の検討課題である、DNA損傷後の修復に関わる因子、TFTDの代謝・取り込み関連因子の評価につながる有用な結果を集積していると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度の研究計画は、TFTDのDNA取り込み量高感度測定法を用いて、TFTDを使用した大腸癌症例におけるDNA取り込み量を測定すること、また、同時に既報の感受性予測因子を含め、TFTDの輸送やDNA損傷後の修復に関わる因子の発現を網羅的に評価し、DNA取り込み量や奏効率、有害事象の発生頻度、予後を含む臨床病理学的因子と比較することであった。現時点でTFTD投与症例におけるFTD取り込み量の測定を開始、継続している。薬物の体内動態の解明が不十分であるため、感受性予測因子の評価や、臨床病理学的因子との比較はできていない。一方で、臨床試験の付随研究としての同検討については、目的症例数まで到達しており、DNA取り込み量もほぼ全症例で評価できている。現在臨床データの集積待ちの状態である。

今後の研究の推進方策

平成31年度の研究計画は①大腸癌細胞株においてもTFTD感受性予測因子の発現と感受性の相関があるかを検証すること。②大腸癌細胞株を用いてTFTDの感受性予測候補因子の発現を調節し、感受性の変化と比較することで、TFTDの感受性決定の機序解明と感受性予測因子の評価を行うことである。In vitroの報告ではFTDのDNA取り込み量と抗腫瘍効果が相関すると報告されており、ヒトにおいてもTFTDの取り込み量と感受性が相関することが示唆される。一方現時点での検討では、TFTD取り込みのピークや、休薬時の取り込み量の低下に差があること、血液検体と腫瘍検体では取り込み量が相関しない可能性も示唆される。平成30年度の研究計画の一部である臨床検体を用いた検討と並行して、細胞株を用いてFTDの取り込み量の変化、TFTDの輸送やDNA損傷後の修復に関わる因子(ATM、XRCC3、hENT-1など)の発現との比較について検討する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ロンサーフ(FTD/TPI)投薬患者における腫瘍細胞のトリフルリジン(FTD)取り込 み解析法の開発2019

    • 著者名/発表者名
      藤本 禎明
    • 学会等名
      第119回日本外科学会定期学術集会

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公開日: 2019-12-27  

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