研究課題
TFTD(ロンサーフ:TAS-102)の進行再発大腸癌に対する効果発現機序の解明と感受性予測因子の検索を行った。効果発現機序の解明においては、当教室で発見したTFTDの有効成分FTDの特異的抗体を用いた免疫組織化学染色にて、末梢血単核球内以外にも、癌組織(肝転移巣、リンパ節転移巣、腹膜播種巣)の核内にFTDを同定できた。またTFTD投与後に施行された胃生検など非癌組織の細胞内にはFTDを同定できなかった。腹膜播種マウスを用いた検討においても、FTDは癌組織にFTD投与13日後にも認められたが、非癌組織(骨髄)では術後6日目にはFTDが消失していた。これらの結果はFTDが骨髄細胞(非癌組織)よりも癌組織において長期にとどまることを示唆しており、血液毒性と抗腫瘍効果に関わる薬物動態についての新知見となった。この成果を第119回日本外科学会学術集会、第74回日本消化器外科学会総会にて発表した。また国際英文誌(Cancer Chemotherapy and Pharmacology)に報告した。また、我々の施設をプロトコル責任者施設として行われている、TFTDを用いた1字治療のPhaseII試験の付随研究として、TFTDの末梢血単核球取り込み割合の推移と化学療法感受性や血液毒性の頻度との比較を行った。症例登録は計画通り進み、現在結果の解析中である。本結果については現在論文執筆を行っており、近日中に国際英文誌に投稿予定である。またその成果を第120回日本外科学会学術集会(COVID-19により延期中)、第75回日本消化器外科学会総会にて発表予定である。
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Cancer Chemother Pharmacol
巻: E-pub ahead of print ページ: Epub
10.1007/s00280-020-04072-6