研究課題/領域番号 |
18K15283
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
平下 有香 大分大学, 医学部, 医員 (70771955)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 進行胃癌 / RTK/KRASシグナル / 感受性 / マーカー |
研究実績の概要 |
胃癌は検出される遺伝子異常が非常に複雑であることが知られるが、RTKおよび その下流のKRASを含むRTK/KRASシグナルに関わる因子の異常が高頻度に検出されることから、これらのシグナルを標的とした治療法が期待されている。研究代表者はこれまで、RTK/KRASシグナル標的治療のひとつであるMEK阻害治療では薬剤投与後のタンパク質リン酸化変化率(早期反応性マーカー)により感受性予測が有用であることを見出した。
本研究ではMEK阻害剤に加えて、RTK/KRASシグナル標的治療薬や細胞障害性の抗がん剤における早期反応性マーカーを胃癌細胞株を用いて同定を目指した。胃癌細胞株40株を用いてMEKに加えPI3K/mTOR阻害剤の感受性を調べ、感受性に強く相関する早期反応性マーカーを同定した。METが増幅し、MET阻害剤およびMEK阻害剤へ感受性を示すMKN45の移植モデルを作製した。In vivoでもMKN45はMET阻害剤へ高い感受性を示した。さらに継続投与によりMET阻害剤に対して耐性を示すようになった腫瘍組織を切除・培養し、株価することに成功し、これらを用いて早期反応性マーカーの同定に取り組んでいる。
昨年度より、マーカーの同定と並行して進行胃癌オルガノイド樹立とDrugアッセイの条件の検討も開始した。Drugアッセイの条件については細胞株と大きく異なるため、すでに樹立、培養条件が確立している大腸癌オルガノイドを用いてMEK阻害剤に対する感受性の評価および早期反応性マーカーの検討を行った。また、マウス移植実験も行い、生体内での検出も可能であることを証明した。得られた条件を元に胃癌オルガノイドでの検出を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた早期反応性マーカーの探索が順調に進んでいるため。また、オルガノイドの樹立も着手し、これまで順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
樹立した胃癌オルガノイドのうち2株のマウスへの移植実験を行ったが、いずれも生着しなかった。より重度の免疫不全マウスを用いるなど移植法の改善を検討している。 マーカーの効率的な検出条件を確立するために、昨年度は大腸癌オルガノイドでMEK阻害剤における早期反応性マーカーの検出をウエスタンブロット法で行った。より少ない細胞数で検出するため細胞免疫染色を予定している。この条件を確立して胃癌オルガノイドに応用を目指す。
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