研究実績の概要 |
AAT-008のもつ放射線増感効果の作用機序をみるための実験として、大阪大学放射線治療学講座と連携しフローサイトメトリーを施行した。AAT008(10mg/kg/day)と放射線9Gy照射を組み合わせた群では、放射線照射のみ群と比較して腫瘍中における細胞障害性T細胞の増加の傾向がみられた。これの再現性をみるためにnを増加させて同様の実験を行うも、残念ながら有意な結果は得られなかった。AAT-008のもつ免疫賦活化効果を高めるために、投与量を30mg/kg/dayにするとともに、薬剤投与終了後からフローサイトメトリーまでの期間を短く設定した。まずは傾向をつかむためnを少なめに設定(1群あたり5匹)し、実施したところ照射のみ群に比してAAT-008+照射群では制御性T細胞の有意な低下をみとめた。また細胞障害性T細胞/制御性T細胞の比をとると、やはりAAT-008+照射群では高値を示しており、AAT-008が抗腫瘍免疫を賦活化していることが示唆された。再現性を確かめるため、nを増やして実施した。しかし有意な結果は得られず、提供されたAAT-008を使いきったため実験としては終了となった。これらの成果を2021年米国放射線腫瘍学会で発表した。最終年度は国内学会で発表するとともに、英文論文にまとめpublishされた。(Manabe Y, et al. Biological effects of prostaglandin E2-EP4 antagonist (AAT-008) in murine colon cancer in vivo: enhancement of immune response to radiotherapy and potential as a radiosensitizer. Transl Cancer Res 2023;12(2):351-358)
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