研究課題
若手研究
DNA相同組換え(homologous recombination; HR)修復は腫瘍治療にあたり重要な分子標的であると考えられているが、有効な分子標的薬の開発は発展途上であり、腫瘍特異性の高い標的候補が求められている。本研究では、長鎖非翻訳RNA (long non-coding RNA; lncRNA)を標的とし、HR修復不全を誘導することを目指し、候補lncRNAの候補の同定を目指した。その結果、培養がん細胞を用いた発現解析実験などから、機能不全により、HR修復欠損誘導を介したがん細胞の増殖抑制、抗癌剤感受性増強を誘導可能なlncRNAを複数同定した。
腫瘍治療学、細胞生物学
HR修復を標的とし、RAD51のDNA結合阻害剤、HR応答の上流であるATM・ATR・CHK1阻害剤といった化合物がこれまでに報告され、臨床開発に進んでいるが、必ずしも特異性が高くない。本研究で、HR修復機能維持に関与するlncRNAを複数同定できたことにより、HR修復を標的とした新たな分子標的候補を見出せた。また現在までに、5-60,000遺伝子存在すると考えられているが、その殆どについては機能未知であるlncRNAについて、新たな生物学的知見が得られた。