研究課題/領域番号 |
18K15294
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
毛利 浩太 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (30723697)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 核酸ナノ構造体 / DNAアッセンブリ / 抗体 / がん診断 / がん免疫療法 |
研究実績の概要 |
核酸ナノテクノロジーは、核酸の二重鎖を形成する特性を巧みに利用することで、様々な形状のナノ構造体の設計・構築を可能にする。本研究では、核酸ナノテクノロジーを抗体工学の分野に応用することで、抗体の設計自由度や生産性を飛躍的に向上させた抗体創出システムの開発を目指す。初年度では、生体応用に適したDNAナノ構造体の作製およびがん細胞指向性を有するプローブを結合したDNA構造体の作製に関する検討を行った。本研究では、天然型DNAの負電荷による生体内動態の影響を考慮し、電気的に中性なモルフォリノDNAを用いてDNA構造体の作製を試みた。互いに半分ずつが相補的な3本の26-mer DNAを設計し、アニーリングによりY型構造のナノ構造体(tripodna)を作製した。電気泳動法によりtripodna形成の評価を試みたものの、モルフォリノDNAは電気的に中性なことから一本鎖DNAとの差は認められなかった。そこで、蛍光標識を施した3本のモルフォリノDNAを用いてtripodnaを作製することで、蛍光標識されたtripodnaを新たに作製した。その結果、標識された蛍光色素の電荷によりtripodnaの電気泳動に成功し、tripodnaの形成を実証することが可能となった。このとき、アニーリングの温度条件に加えて、DNA濃度や塩濃度についても検討を行い、tripodnaの作製条件も見出した。作製したtripodnaの末端にボンベシンアナログ(gastrin-releasing peptide receptor(GRPR)親和性ペプチド;BBN)を結合させたBBN修飾tripodnaも作製した。別途、DNAアプタマーを末端に結合したDNA構造体の作製にも成功した。今後は、抗体を修飾したDNA構造体を作製するとともに、上記で作製したDNA構造体の生体応用を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた、生体応用に適したDNAナノ構造体の作製に関する検討は、おおよそ完了した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度以降は、DNA構造体の立体構造の最適化を進めるとともに、当初予定していたDNA構造体を基盤とした抗体アナログのがん診断やがん免疫療法への応用性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗の都合により、核酸構造体を基盤とした抗体アナログの最適化について、次年度も引き続き遂行することとしたため。
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