研究実績の概要 |
令和元年度も前年度に引き続き、遺伝子変異を有する非小細胞肺がんPDXの作成を継続した。本年度中に164検体の移植を行い、40株の肺がんPDXが生着した。現在までに総計51株の非小細胞肺がんPDXの生着を確認し、EGFR遺伝子変異陽性 9株、ALK陽性 5株、ROS1陽性 1株、HER2 amp 1株であった。これらの株を用い、EGFR-TKI耐性期の患者さんから樹立したPDXに対するGefitinib, Osimertinibの薬効試験、ALK阻害剤耐性期の患者さんから樹立したPDXに対するALK阻害剤2剤(うち1剤は患者さんで投与されていない薬剤)の薬効試験、ROS1陽性で未治療患者さんから樹立したPDXに対するROS1阻害剤(うち1剤はその後患者さんに投与、1剤は未承認薬)の薬効試験、HER2 ampで分子標的治療薬未治療患者さんから樹立されたPDXに対するpan-HER阻害剤2剤(2剤とも未承認薬)の薬効試験を進めている。患者さんにおける臨床的効果と一致する例、一致しない例を認めており、この原因としては薬剤の投与量や暴露量の影響が考えられる。血中濃度に関する検討を含め、検討を進める。また、PDXの樹立状況としては薬剤耐性期のPDXは複数樹立できているものの、未治療のPDX樹立は検体採取のタイミングの問題から少なく、今後この点も含めより効率的な樹立と、承認薬・未承認薬の薬効評価を進める。
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