肺癌は国内罹患率・死亡率ともに高く、治療開発と予後改善は重要な課題である。非小細胞癌の5%にみられるEML4-ALK融合の発見後、ALKキナーゼ阻害を機序とした治療薬の開発が進んできた。それらは従来の殺細胞性抗癌剤と比較して劇的な生存期間の延長や毒性軽減によるQOLの改善をもたらしたが、長期投与により耐性化することが知られており、その克服が重要な課題である。本研究はその課題に対し「蛋白の多量体化に依存したがん」という全く新しい切り口からアプローチしたことに意義がある。また、多量体化による恒常的活性化は、臓器横断的に様々な腫瘍でみられ、将来重要な治療標的となる可能性を示したことに意義がある。
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