本研究は、悪性軟部腫瘍に対するトラベクテジンの奏効性を予測するバイオマーカーを探索すること、さらにトラベクテジン抵抗性に関与する遺伝子を探索し、そのメカニズムを解明することでトラベクテジンと相加および相乗効果を有する併用薬剤を探索することを目的としていた。トラベクテジン投与によりPartialresponse(PR)または12週以上のStable disease(SD)であったものを奏効群とした。昨年度は奏功群と無効群をそれぞれ5検体ずつ収集し、体細胞変異の有無による治療効果について検討したが、体細胞変異と治療奏功性との関係は見られなかった。そこで、本年度はメチル化、遺伝子発現解析を行った。5例ずつの検討で、治療奏功性と関連すると考えられる候補となる遺伝子をあげたが、症例数を3例ずつ増やして解析したところ、当初見られたメチル化異常と治療奏功性の関係がみられなかった。今後は、症例数を追加で5症例ずつ増やすなどさらなる解析をすることを検討している。また、トラベクテジン抵抗性細胞株を用いて、shRNAライブラリーを用いた薬剤抵抗性に関与する遺伝子の同定を目的として解析を本年度も行なった。候補となる遺伝子がみられたが、再現性のある結果が得られなかった。トラベクテジン抵抗性細胞株の構築を再度行い、異なる組織型や同一組織型の中でも異なる種類の細胞株を用いて本実験を行う必要があると考えられ、今後の課題と考えている。
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