研究課題/領域番号 |
18K15312
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
野田 佳史 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (60643020)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | MRI / 膵癌 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでにDNP-MRIによるレドックスイメージングで膵癌移植マウスモデルの腫瘍内レドックス状態の可視化に成功した。そこで治療効果の早期判別を目指し、放射線照射後の腫瘍内のレドックス状態の早期可視化を目的とした。 マウス(Balb/C)の右下肢に膵臓がん細胞株(MIA PaCa-2)を移植し、移植後6週目に放射線照射前のCarbamoyl-PROXYL(CmP)を用いたDNP-MRIの撮像を行った後、放射線照射(5Gy)を行った。その後、24時間、72時間、1週間でDNP-MRIの撮像を行った。 腫瘍内のDNP画像強度はImage Jを用いて解析した。 CmP投与後のDNP画像より、腫瘍内におけるCmPの分布は放射線照射後に有意に広がった。またCmPの還元速度から算出するレドックス代謝は放射線照射前と比べ、照射後24時間、72時間において著しい減少が認められた。一方、放射線照射(5Gy)後1週においても腫瘍サイズには変化は見られなかった。 これまでの検討により腫瘍内のレドックス代謝は、形態変化に先立ち放射線照射早期から変化することが明らかとなり、レドックス代謝は放射線治療における早期のバイオマーカーになる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNP-MRI特性評価および膵癌マウスモデルにおける有用性の実証まで終え、残りの1年で膵癌特異性造影剤での造影効果評価を行う計画は当初提出した研究計画書通りであるため。
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今後の研究の推進方策 |
DNP内包ナノカプセルに抗癌剤を封入した造影効果と治療効果を有するナノカプセルを開発する(九州大学との共同研究)。膵癌マウスモデルに抗癌剤内包ナノカプセルを投与し、DNP-MRIの撮像の最適化、抗癌効果の最適化を経て、腫瘍サイズの増減により抗癌剤効果を判定し、本法のセラノスティクスへの応用を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入を控えたため次年度使用額が生じた。しかし、額としては少額であり、次年度は計画通りの予算執行が可能であると考える。
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