研究課題
癌治療を受ける患者の全身状態の評価としてECOG-PSが最も用いられている。化学療法を受ける患者の身体症状や気分、日常生活への影響、睡眠障害についてもアンケート調査が使用されるが同様である。近年、ウェアラブルディバイスがフットネス機器として普及している。歩数だけでなく運動強度の評価ができ、睡眠時間まで判別可能である。日常生活での身体活動量や睡眠状態について、簡便なデバイスを利用した客観的評価指標の開発することは、患者の予後・QOL改善につながる可能性がある。本研究では、ウェアラブルディバイスを用いて、癌患者の身体活動量や睡眠状態を定量的測定することにより、化学療法の標準的治療の実施に影響を与える因子を分析することを目的としている。【研究方法】滋賀医科大学にて乳癌または大腸癌と診断され、化学療法および外科治療を受ける患者①化学療法施行患者:外来化学療室にて注射薬を用いた化学療法を受ける患者(術前化学療法・術後補助化学療法・再発に対する化学療法を含む)②化学療法非施行患者:健常ボランティアとの比較を行う。(ウェアラブル活動量)化学療法施行前・施行後の活動量(歩行時間、距離、歩数、消費カロリー、エクササイズ)、睡眠(睡眠時間、サイクル、睡眠の深さ)を測定し、パーソナルコンピューターに同期、記録を行う。また、同時に従来のアンケート調査などを行う。(観察項目)1.患者背景:年齢、性別、既往歴、BMI、腫瘍病期・組織型など、睡眠薬・向精神病薬の内服状況、2.化学療法のレジメ、相対的治療強度、3.有害事象の発生(CTCAE Version 4.0)、4.アンケート調査(ECOG-PS、FACT-B、EuroQOL-5D (EQ5D)、睡眠に関するアンケート)上記、研究方法について、倫理審査室に計画書を提出し審査中である。活動量計については、購入を行い、研究を開始する準備を行った。
3: やや遅れている
化学療法施行患者の対象者の活動量計の装着とデータ採取の方法について、検討を行う必要があった。外来通院は2週間~4週間と幅があるために、活動量計のデータ記録容量と電池寿命が十分にある機種を選定するのに時間を要した。活動量計のデータ記録容量については3-4週感ほど記憶ができる機種を選定できた。また、スマートフォンに連動してインターネット経由でデータを提供してもらう機種も選定した。機種の変更について倫理審査の再審査を受ける必要があり、研究の開始が遅れている。また、倫理審査の途中で、化学療法非施行患者については、通院期間が3-6ヶ月と長期にわたるため、データ採取を行うことが困難である事が判明した。そのため、健常ボランティアをコントロール群において比較を行う事となった。以上の点から、倫理審査の再審査を行う必要があり、研究がやや遅れている。
倫理審査終了後、健常ボランティアをコントロール群においてデータ採取を開始する。化学療法施行患者の対象者については、症例があれば適宜、開始していく。活動量計の扱いができる年齢層を選んで患者を選定する必要がある。
研究の進行が遅れているため、研究調査費としての旅費の執行や健常ボランティアに対する謝金の執行が行われなかったため、それらの資金を次年度の使用額として使用計画を立てます。
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癌と化学療法
巻: 45 ページ: 2535-2437
滋賀医科大学雑誌
巻: 31 ページ: 24-29