研究課題
今までに①MSI-H大腸がんよりPDXマウスモデルの作製、②PDX腫瘍の解析、③免疫ヒト化、を行っている。①を実行するために、当院にて大腸がん手術を行うことが予定されている患者に対し、文書による同意を得てMSIの測定を行った。MSI検査の対象者は100名に達しておりこれを解析した。MSI-H症例は100例中6例であり、概ねこれまでの報告と一致している。今回、MSIの測定に併せて詳細な家族歴の聴取も行い、Amsterdam Criteria IIやRevised Bethesda Guidelinesの評価も行っている(6名中2名がRBG, AMSⅡの両方に該当)。日本人大腸がん患者のMSI-Hの割合や背景については十分な報告はなく、現在これらの結果について論文作成中である。本年は、これまでの2例のMSI-H大腸がんPDXモデル(PDX1及びPDX2)に追加し、新たに1例(PDX3)を樹立した。PDX1はMLH1(c.1990-2A>G)に生殖細胞変異を持つ腫瘍で、PDX2はMLH1プロモーター領域の高メチル化による腫瘍であったが、PDX3もPDX1と同様に生殖細胞変異を持つ腫瘍と考えられる。これまでに、これら3例のMSI-H大腸がんPDXモデルと、1例のMSS大腸がんPDXモデル(control)を樹立している。免疫ヒト化においては、PDX1にヒト免疫を付与する目的で腫瘍を提供した同一患者のPBMCを尾静脈より輸注し、PDX腫瘍内にヒトCD45陽性細胞とCD3陽性細胞を確認している。本年度は、免疫チェックポイント阻害薬の薬効評価として、これら免疫ヒト化マウスに抗PD-1抗体であるニボルマブの投与を行った。少数の実験例ではあるが、ニボルマブ非投与群に比較して投与群ではT細胞浸潤が増加している傾向にあった。今後も繰り返し実験を行い、免疫治療の薬効評価モデルとして評価を重ねていく。
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journal of cancer research and therapeutics
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