本研究では膵臓癌を含む難治性消化器癌の超音波内視鏡下穿刺吸引術で得られた組織microRNA を測定し、早期診断、治療に関連するmicroRNA を同定する。さらにはそのmicroRNAs を診断目的のマーカーとしての有用性および対象microRNA に対する抑制マウスモデルを作成するなどして、そのmicroRNA の消化器癌に対する機能を確実に明らかにすることである。今までの我々の膵臓癌での先行研究成果をもとに、それぞれ膵臓癌、胆管癌、胆嚢癌での研究を次の5 段階で進めていく。本年度は当院倫理委員会による承認済研究で同意の得られた膵臓癌、胆道癌などの難治性消化器癌の患者様を対象に、疾患の診断目的で超音波内視鏡下穿刺吸引術を施行した。採取された消化器癌組織のRNAを60例程度.RNA保存液内に保存可能した。その後、2555分子のmicroRNAが搭載されたoligochip arrayを用いて組織microRNAの網羅的解析を行った。 また、本研究の同意の得られた患者様のの癌ステージ、予後、転移先などの臨床パラメーターを分析を行っている。これらパラメーターと網羅的解析により得られた候補microRNAをクラスター解析行うことにより、関連する候補micoroRNAの同定を行っている。現在のところ、各々のパラメーターにおいて数十の候補microRNAを見いだしており、今後はこれらのmicroRNAの実測を行っていく予定である。 超音波内視鏡下穿刺吸引で得られた組織の中でmiR375は予後と密接に関していた。miR375の増加は、予後不良因子であった。 これらの結果は、科研期間中に日本消化器病学会で発表した。
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