研究課題
本研究の目的は悪性度の高い癌腫である食道扁平上皮癌の予後改善をめざすことにあり、このためのアプローチとして、1)術後転移再発の早期診断および2)発癌の早期発見を掲げている。本研究では後者に焦点を絞って解析を進めている。今後、健常者を対象に展開していくことを念頭に置き、早期食道がん罹患50例を対象に遺伝子多型でハイリスク者を抽出されることを確認し、血液中ctDNA体細胞変異のバーコード法解析により早期診断の可不可を明らかにするという計画である。平成30年6月九州大学ヒトゲノム倫理委員会を通過し、平成31年4月現在、食道がん10例の集積を終了している。実臨床ではStage I症例に対しては、条件を満たせば内視鏡的切除の適応となっている。したがって、申請時の目的である『原発巣の全エキソームシーケンスの結果と比較し、ctDNA検出の精度と腫瘍内不均一性の反映程度を評価し、ターゲットシーケンスの対象遺伝子の妥当性を評価する。』は実現が難しい症例も増えており多少の計画の軌道修正を余儀なくされている。そこで1)に関連させて放射線化学療法後の再発症例に着目した。当該研究と併施して放射線化学療法に対する感受性(抵抗性)の遺伝子多型での予測とctDNAでの診断行うこととしている。 現在、手術不能食道がん29例を対象に照射(50-70Gy)およびCisplatin 5FU投与を実施した。1年以内の再発例を非感受性群(15例)、非再発例を感受性群(14例)として、原発巣生検標本を採取しWES解析をした。また、全例の治療前後の血液検体集積を完了した。抵抗性例と感受性例の原発巣の体細胞変異の比較から抵抗性特異的変異遺伝子を抽出した。来年度はそれらの変異遺伝子より「食道がん放射線化学療法抵抗性変異がんパネル」を作製しctDNAの変異検出を実施する。再発症例における特異的検出を期待している。
2: おおむね順調に進展している
早期食道がん症例の集積を引き続き行う予定である。進行食道がん再発の血液中ctDNA体細胞変異のバーコード法解析による診断の有用性も併行して検討を行っていく。
早期食道がん症例の集積を引き続き行う。その後、健常者と比較して、遺伝子多型にて食道がんハイリスク者の抽出が可能かの検討を行う。また、血液中ctDNA体細胞変異のバーコード法解析により食道がんの診断が可能かどうかの検証を行う。早期食道がんの早期診断とともに食道がんの再発の早期診断へもctDNAが有効かどうかの検討も行うこととしている。進行食道がんに対して、根治化学放射線治療を施行した29例をすでに集積している。再発例(15例)と非再発例(14例)の全エキソームシーケンスを行い、比較検討する。血液検体からctDNA体細胞変異のバーコード法解析により再発診断が可能か検討する。
平成31年度の研究消耗品に使用する予定。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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