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2019 年度 実施状況報告書

TN乳癌におけるエクソソームmiRNAを用いた治療抵抗性機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K15324
研究機関熊本大学

研究代表者

末田 愛子  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (70749720)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードエクソソーム / miRNA / トリプルネガティブ乳癌
研究実績の概要

トリプルネガティブ(TN)乳癌において術前化学療法施行前後の血清エクソソーム中のmiRNA発現と治療効果及び予後との相関を検討した。術前化学療法により腫瘍の完全消失が得られた症例(pCR)と腫瘍の遺残を認めた症例(non-pCR)においてマイクロアレイ解析を行った結果、16miRNAにおいて発現パターンの相違を認めた。このうち4遺伝子(miR-4448, miR-2392, miR-2467-3p, miR-4800-3p)を用いてpCR予測におけるAUCを算出した結果、AUC 0.6752の中等度の精度であった。さらに、non-pCR症例の中でも再発を来した症例と、無再発例において同様にマイクロアレイ解析で比較検討を行った結果、43miRNAにおいて有意な発現パターンの相違を認めた。そのうちmiR-195-5pが再発症例において最も高発現しており、miR-548abが最も低発現していた。公共のデータべースである Diana Tools mirPath v.3 analysisを用いてネットワーク解析を行ったところ、“pathway in cancer”, “focal adhesion”,“cell cycle”, and“MAPK signaling pathway”などが、non-pCRで再発を来した症例において重要な経路として同定された。
以上の結果から、①いくつかのエクソソームmiRNAの組み合わせにより、悪性度の高いTN乳癌において治療効果が得られる症例と、そうでない症例の選別が可能である、②特定のエクソソームmiRNA発現パターンにより、標準治療により治療効果が得らず(non-pCR)、かつ再発を来した症例の予測が可能である。この治療抵抗性に関する遺伝子のパスウエイ解析や生物学的機序の解明を行うことで、既存の化学療法以外の新規薬剤の考案につながる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

トリプルネガティブ(TN)乳癌の臨床検体を用いた解析はほぼ終了しており、術前化学療法前後のエクソソーム由来miRNA発現パターンの比較検討は全て予定通り進捗していると思われる。先行研究で治療効果との関連が示唆されたmiRNA群(miR-4448. miR-2392)などについて細胞実験も踏まえ治療効果との関連を併せて検討する予定であったが、細胞実験での検討が未だなされておらず、この点においては当初の予定よりやや遅れが生じている。今回、non-pCR症例において再発例、無再発例においてエクソソームmiRNAのマイクロアレイ解析を行ったが、その受託解析などに時間を要し、遅れが生じたものと思われる。

今後の研究の推進方策

臨床検体を用いたTN乳癌のエクソソームmiRNA発現パターンと治療効果及び予後の検討において、全体をまとめ論文化、投稿する予定である。miRNAの早期診断マーカーとしての意義は様々な報告証明されている一方、治療効果判定や治療効果予測などにおけるmiRNA発現の検討は未だ報告が限られているため、貴重なものと考える。なお、細胞実験については十分手法や設備を確認し、可能な限り進めていく方針である。

次年度使用額が生じた理由

研究のまとめとしての学会発表時の旅費や論文投稿の際の費用として使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Triple negative乳癌におけるエクソソーム由来miRNA発現と治療効果及び予後との関連2020

    • 著者名/発表者名
      末田 愛子
    • 学会等名
      第28回日本乳癌学会学術集会
  • [学会発表] Triple negative乳癌におけるエクソソーム内miRNA発現と治療効果との関連2019

    • 著者名/発表者名
      末田 愛子
    • 学会等名
      第27回日本乳癌学会学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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