研究実績の概要 |
便中DNAの大腸がん診断への有用性が多くの研究から示されているが、普及には至っていない。申請者らのグループはこれまで、経口腸管洗浄液から腫瘍特異的なDNAメチル化を検出することで大腸がん診断に応用しうることを報告した(Cancer Prev Res, 2014)。本研究はこの知見を発展させ、大腸がんのリスク予測・超早期診断法を開発することを目的とした。 大腸がんのリスク予測・超早期診断に有用なマーカーの探索を目的として、発がん高リスクとされる大腸鋸歯状病変を有する患者の大腸粘膜と鋸歯状病変を有さない正常大腸粘膜における網羅的メチル化解析をInfinium Methylation BeadChipを用いて施行した。胆汁酸代謝に関わることが報告されている遺伝子のメチル化が鋸歯状病変を有する患者さんの正常大腸粘膜で異常メチル化が見られることを明らかとした。多数例の解析において検証し、さらに大腸洗浄液を用いたメチル化解析により発がんリスクとの関連を検討中である。 また大腸がんスクリーニングにおいて有用なCTコロノグラフィーでは小さな大腸がんや平坦な病変の同定が困難であるが、CTコロノグラフィーに経口腸管洗浄液DNAメチル化解析を組み合わせることで、大腸がんを疑い、大腸内視鏡検査で大腸がんを同定できる症例を抽出でき、スクリーニング検査として有用である可能性が示唆された。
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