研究課題/領域番号 |
18K15328
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
浅野 尚文 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10445299)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DNAメチル化 / 脂肪肉腫 / 脱分化 |
研究実績の概要 |
脱分化型脂肪肉腫のメチル化異常の全体像を把握するため、まず、手術により得られた患者由来の凍結保存組織(脱分化型脂肪肉腫10検体、高分化型脂肪肉腫6検体、正常脂肪組織6検体)を用いて、Infinium HumanMethylationEPIC BeadChipによる網羅的なDNAメチル化解析を行った。脱分化型脂肪肉腫(高悪性度)、高分化型脂肪肉腫(良悪性中間)、正常脂肪組織の3群はそれぞれグループを成し、正常脂肪組織および高分化型脂肪肉腫は近接して分布し比較的類似性が高いのに対し、脱分化型脂肪肉腫は広範に分布し腫瘍間不均質性が高い事が分かった。また、脱分化型脂肪肉腫の腫瘍組織においてエンハンサーおよびプロモーター領域でメチル化されている遺伝子は脂肪分化に重要な遺伝子であるPPARγの結合領域を多く含んでいることが分かった (6.2%: 全ゲノム中1.1%)。 次に、脱分化型脂肪肉腫の細胞株(LP6)を用いてAgilent SurePrint G3 Human Gene Expression 8x60K v2による遺伝子の網羅的な発現解析を行い、高メチル化状態にある脂肪分化や合成に関連する遺伝子(PPARγ2, METTL7Aなど)の発現は、脱分化型脂肪肉腫の腫瘍組織において低く、それらが実際に脱メチル化剤の投与により発現回復が可能であることを見出した。 これらの事から、脱分化型脂肪肉腫の発生にはDNAメチル化による脂肪分化関連遺伝子の発現抑制と、脂肪分化に重要な領域のエピゲノム異常が関与している事が示された。 現在、高メチル化により発現が低下している遺伝子(PPARγ2, METTL7Aなど)の脂肪肉腫発生に関わる機能を明らかにするために、過剰発現・ノックダウン・ノックアウト実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手術により得られた患者由来の凍結保存組織(脱分化型脂肪肉腫10検体、高分化型脂肪肉腫6検体、正常脂肪組織6検体)を用いて、Infinium HumanMethylationEPIC BeadChipによる網羅的なDNAメチル化解析を行い、脱分化型脂肪肉腫のメチル化異常の全体像を把握した。脱分化型脂肪肉腫(高悪性度)、高分化型脂肪肉腫(良悪性中間)、正常脂肪組織の3群はそれぞれグループを成し、正常脂肪組織および高分化型脂肪肉腫は近接して分布し比較的類似性が高いのに対し、脱分化型脂肪肉腫は広範に分布し腫瘍間不均質性が高い事が分かった。また、脱分化型脂肪肉腫の腫瘍組織においてエンハンサーおよびプロモーター領域でメチル化されている遺伝子は脂肪分化に重要な遺伝子であるPPARγの結合領域を多く含んでいることが分かった (6.2%: 全ゲノム中1.1%)。 次に、脱分化型脂肪肉腫の細胞株(LP6)を用いてAgilent SurePrint G3 Human Gene Expression 8x60K v2による遺伝子の網羅的な発現解析を行い、高メチル化状態にある脂肪分化や合成に関連する遺伝子(PPARγ2, METTL7Aなど)の発現は、脱分化型脂肪肉腫の腫瘍組織において低く、それらが実際に脱メチル化剤の投与により発現回復が可能であることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度から行っている、高メチルか状態で発現が低下している遺伝子(PPARγ2, METTL7Aなど)の脂肪肉腫発生に関わる機能を明らかにするための、過剰発現・ノックダウン・ノックアウトを行うとと同時に脱メチル化剤単剤投与及び脱メチル化剤とPPARγアゴニストとの併用療法の有用性についても検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会へ参加できなくなったため。また、効率的な物品調達を行った結果未使用額が生じた。次年度、実験用試薬を購入予定である。
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