研究実績の概要 |
研究代表者らのグループは、GISTにおいて、pfetinの発現の強弱により臨床的な予後に違いが出てくることを示している。また一方、研究代表者らのグループの別の研究成果からは、pfetinをコードするKCTD12の遺伝子発現量/pfetinのタンパク質発現量とdriver oncogeneであるKITの遺伝子発現量が相互に干渉し、逆相関の関係にある可能性も示唆されている。そこで、GISTにおけるpfetinの発現量(免疫染色による発現の強弱によってグループ分けを行った)によって、KCTD12, KITを含む遺伝子発現にどのような違いがあるか、GIST臨床凍結サンプルを用いたCAGE解析を行い、解析した。 免疫染色によるpfetin発現の強弱による遺伝子発現の違いを観察したところ、これまでのデータと合致するように、pfetin強陽性群ではKITの発現量が若干低い傾向にあり、10例程度ではあるが、逆相関の傾向がみられた。また、GISTの一部にNTRK2にコードされるtrkBタンパク質の過剰発現群を見出しており、これらNTRK2陽性群は、NTRK陰性群と遺伝子発現プロファイルでは、きれいに分かれることも見出した。これらのクラスター解析は進行中である。また、GISTにおけるtrkBの発現は小腸由来のものに限られることを見出した。また、NTRK2のRNA発現レベルは高いものの、遺伝子発現不均衡はみられず、融合遺伝子を形成している可能性は低いことが想定された。また、NTRK2の遺伝子増幅もみられず、trkBの過剰発現はNTRK2の転写亢進によるものが考えられた。
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