研究課題/領域番号 |
18K15331
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
山田 哲平 福岡大学, 医学部, 助教 (20772718)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
2018年度(初年度)は、胃癌組織のみを用いて抗HLAクラスI抗体などを使用した免疫組織化学染色の最適化を開始し同癌腫の本染色を進めていた。しかし後述の理由から研究に遅れを認めていたため計画を微修正し、他科や他施設とも協力し対象腫瘍の範囲を広げて本研究を進める方針とした。また、並行して各種悪性腫瘍におけるHLAクラスI APM関連分子の発現程度に関する過去に報告されたすべての研究報告をまとめる作業も行い総説論文として報告した(Defective HLA class I antigen processing machinery in cancerCancer. Immunology, Immunotherapy 67:999-1009,2018)。同結果も我々の基礎データとして使用する予定である。 2019年度は、膵神経内分泌腫瘍やメラノーマにおける検討も行い、一部の研究結果を原著論文として報告した(Role of Tumor Associated Macrophages in the Clinical Course of Pancreatic Neuroendocrine Tumors (PanNETs).Clin Cancer Res. 25:2644-2655,2019)。 免疫チェックポイント阻害剤にて加療された患者を対象として、各種悪性腫瘍におけるHLAクラスI APM関連分子の発現程度の評価も順次開始している。メラノーマにおいては、免疫チェックポイント阻害剤の種類によって、HLAクラスI APM関連分子の発現程度と臨床的な薬剤効果の関係が異なる傾向があることが分かってきている。引き続き症例の積み上げを行い詳細な解析とさらなる検討が必要と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨今の化学療法の開発と当院当科独自のの副作用マネジメントの工夫により予想以上に胃癌患者における化学療法のレジメン変更を行う頻度が減少した。そのため、切除不能進行・再発胃癌に対する3次治療以降に適応のある免疫チェックポイント阻害剤を使用する年間患者数が当初の見積もりを大幅に下回っている。 本研究開始時は、胃癌に着目して免疫チェックポイント阻害剤で加療された胃癌患者の組織を使用して実験を進める事が重要と考えていたが、2018年度(初年度)に研究の遅れを確認したため、その後は対象腫瘍の範囲を広げて本研究を進めている状況で2019年度は2018年度の遅れを挽回中である。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度、2019年度に得られた研究成果をもとに、基本的には交付申請書に記載した「研究計画・方法」に従い、研究を継続する予定である。 本研究は免疫チェックポイント阻害剤で加療された患者の組織を使用して実験を進める事が重要と考えており、国内での悪性腫瘍における免疫チェックポイント阻害剤使用の適応状況と実際の当施設での使用頻度をもとに、特定の悪性腫瘍に固執することなく、また当施設のみによる研究に拘わらず、本研究を1歩でも確実に前へ進めるために努力していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度(2018年度)、本年度(2019年度)に行った実験の一部は、本プロジェクトの支援教室である本大学医学部消化器外科学講座と再生・移植医学講座が所有する設備備品や消耗品を使用させて頂くことにより進めることができている。そのために研究開始時に前年度と本年度の所要額として見積もった予算のすべてを使用せずに済んだことで本事項が生じている。 今後も微修正は伴うが基本的には交付申請書に記載した「研究計画・方法」に従って研究を継続する予定であり、科研費として頂いた研究費は引き続き次年度からも使用させて頂く予定である。
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