研究実績の概要 |
初年度からこれまで、胃癌のみではなく食道癌や膵癌、膵神経内分泌腫瘍、メラノーマなどにおけるHLAクラスI APM関連分子の発現程度の評価を行い、一部の研究成果を報告(Clin Cancer Res. 25:2644-2655,2019, Cancers 11:1249, 2019)してきた。免疫チェックポイント阻害剤(ICI)にて加療されたメラノーマ患者を対象としたHLAクラスI APM関連分子の発現程度の評価では、ICIの中でも抗programmed death 1(PD-1)抗体薬なのか、抗cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4(CTLA-4)抗体薬なのかによってHLAクラスI APM関連分子の発現程度と薬剤効果の関係が異なる事が徐々に明らかになってきた。さらに、薬物療法後のがん細胞は未治療のがん細胞に比べて修飾が著しく、また、ICIは消化器癌の日常診療では2次治療以降に使用される事が多いことから、ICI使用時のがん細胞のHLAクラスI APM関連分子の発現程度が薬物療法前とは変化してしまっている可能性を無視できないと考え、患者腫瘍組織同所移植モデルマウスの作製に取りかかり、その成果を報告(J Transl Med. 18:255, 2020)した。また、化学療法や免疫療法による患者血中の免疫細胞の変化(Anticancer Res. 40:4763-4771, 2020)や、化学療法による患者腫瘍組織内の腫瘍微小環境における免疫細胞の変化に関しても報告(J Natl Cancer Inst. 113:182-191, 2021)した。
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