研究実績の概要 |
ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)を用いてエラー行動を予知し、注意を促す刺激を事前に提示することができれば、ヒューマンエラーに起因する 様々 な事故を防ぐことができる。しかし、注意を促す刺激に反応してエラー行動を起こさないようにするためには、エラー行動にどのくらい先行して注意を促す刺激を提示する必要があるかが分かっていなかった。そこで本研究では申請者が発見したエラー行動に関与する脳活動を検出する手法(Ora et al., 2015, Scientific Reports)を活用することによって、エラー行動を事前に予知し、エラー行動を予防する手法を開発する。これによって、認知神経科学の分野では実行制御系についての知見、さらにはヒューマンエラーに起因する深刻な事故を未然に防止する技術への展開が期待される。 本年度は昨年度に続き、エラー行動およびその予防手法を多角的に評価するため、そして新型コロナウィルス感染対策としての緊急事態宣言発出中であっても研究を進めるため、ヘッドマウントディスプレイを使用したバーチャルリアリティを使用した行動タスクの開発に向けた検討を更に進めた。その結果、開発を続けている手法では、脳活動を計測しない行動実験であれば、実験室外において遠隔で行うことができることが示唆され、また行動タスクの開発に必要な知見が得られた。今後これらの知見をもとにエラー行動を引き起こし、脳活動等からエラーを予防する手法の開発を行っていく。
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