本助成事業によって報告者は近年注目を浴びている、神経系での領野間で見られる動的な通信の機序を明らかにすることを目指した。(動的な通信とは、記憶を想起、保持、銘記など状況によって、領野間での同期の強さ、周波数が変化する現象である。)そのために1:予備的なモデルとして海馬と嗅内皮質における作業記憶課題を行う大規模モデルを構築し、脱抑制とよばれる機構の役割を明らかにした。2:神経モデルの基本的な挙動を理解するためのより簡単なモデルをもちいて、神経系の力学的な性質と想起のしやすさの関係を明らかにした。3: 脱抑制を用いた制御による動的な通信が海馬と前頭前野で可能になることをモデルを用いて示した。
|