PTSD患者においては睡眠障害が併発することが知られている。過度な覚醒や恐怖による睡眠障害において、覚醒の維持に関わるオレキシンとその下流の神経回路の役割が明らかになれば不眠を引き起こす神経基盤の解明に寄与できる。本研究では、モノアミンニューロンに発現するOX1Rが恐怖応答の調節に関与し、OX1Rの欠損による恐怖応答の減弱はその後の過覚醒時間を減少させることが明らかになった。このことから、オレキシンは覚醒および恐怖応答の強弱を調節し、オレキシンシステムの過剰な興奮が恐怖による睡眠障害の作用機序の一つであるとともに、OX1R選択的拮抗薬により過度な恐怖応答および覚醒を抑制できる可能性が示された。
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