本研究により、幼若期における高い神経可塑性の分子メカニズムの一端が明らかになった。神経疾患や脳障害で失った高次機能の回復は、外科的・薬理学的な治療と並んで神経回路の再構築が重要なプロセスの1つである。しかしながら、個体成熟後における神経回路の再構築は困難である。その原因として成熟後の脳神経細胞では可塑性が低下していることが挙げられる。幼少時に見られる神経系の可塑的変化が起こり易い状態を再現させることは、高次機能回復法の発見にとって必要不可欠である。そのため、臨界期制御のメカニズムの研究は基礎研究だけでなく臨床応用に向けても重要な意味を持つ。
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