研究課題
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis ; ALS)は病態分子機構に基づく根本的な治療法の無い極めて重篤な進行性神経変性疾患である。現在までに根本的な治療法・治療薬は開発されておらず、一刻も早い発症機構の解明とそれに基づく治療戦略の創出が求められている。これまで我々は、家族性ALSの原因遺伝子の一つであるCu,Zn-superoxide dismutase(SOD1)に着目してALS発症機構の解明に取り組み、SOD1が遺伝子変異により構造変化を起こして細胞毒性を発揮することを明らかにしてきた。さらに我々は、野生型SOD1も亜鉛欠乏ストレス状況下では変異型様構造をとることを見出していたが、その詳細な分子機構は全く解明されておらず、変異型様SOD1タンパク質の性質自体ほとんど不明であった。本研究では、ストレス条件下でSOD1が構造変化する分子機構の詳細と、変異型様SOD1の性質に関する基礎研究を行うことで、SOD1遺伝子変異によらない家族性ALSおよび孤発性ALSにおける変異型様SOD1の病態生理学的意義を明らかにすることを目的とする。本年度は、変異型様SOD1と相互作用する新規タンパク質に着目し、その結合の生理的・病態生理学的意義の検討を行った。その結果、亜鉛欠乏ストレス状況下において、SOD1と新規タンパク質との結合が亜鉛恒常性維持を担う可能性を見出し、学会発表を行った。
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Placenta
巻: 115 ページ: 60-69
10.1016/j.placenta.2021.09.009