研究課題/領域番号 |
18K15369
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
梶原 隆太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (00738221)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者が発見したGM1抑制化合物のAD新規治療薬としての有効性を、ヒト患者iPS細胞由来ニューロン(in vitro)、およびADモデルマウス(in vivo)を用いて解析し、また作用メカニズムについても探ることを目的とする。 本疾患は特に脳などの神経系にAβが蓄積するが、患者の病変部に外部からアクセスし病態を解析することが非常に困難である。また、マウスなどの既存の疾患モデルやモデル細胞株では、種の違い、原因遺伝子の過剰発現・欠失による人工的な表現型(アーティファクト)などの理由により、正確に病態を反映していないことがある。申請者は、家族性AD患者からiPS細胞を樹立し神経細胞へと分化させることによって、in vitroでヒト神経細胞を解析でき、種の違い・アーティファクト等の問題を起こしにくい実験系を確立した。 本年度は、候補化合物の患者ニューロンに対するin vitro での有効性の評価について焦点を当ててて解析した。患者ニューロンを候補薬剤で処理後、細胞外(培地中)のAβ40およびAβ42量をELISAを用いて測定したところ、処理群では、対照軍にくらべて優位にAβ42量の産生量が抑えられ、Aβ40/Aβ42比を健常者由来ニューロンに近づけるような効果があることを見出した。 また、候補薬剤のin vivo での効果について明らかにするため、ADモデルマウス(5xFAD)に候補薬剤を投与後、脳内Aβ量を定量したところ、同様な結果が得られたことからin vitroのみではなくin vivo でも効果があることが分かった。 このことから、申請者が発見したGM1抑制化合物は、AD新規治療薬候補としての有効性が期待できることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者が発見したGM1抑制化合物は、Aβ42量の産生量を優位に減少させることが分かり、AD新規治療薬の候補として使用できることが分かった。このことは根本的な治療法がない本疾患において非常にインパクトが大きく、順調に研究を遂行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、申請者が発見したGM1抑制化合物のヒト患者iPS細胞由来ニューロンにおける「機能的」な解析をFM1-43 を用いて行い、Aβ42量を下げるだけではなく、神経伝達物質放出能も改善することを確認したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
残高は25,355円と少額であるため、誤差の範囲と考えられる。 したがって、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については当初と変更はない。
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