研究課題
サルコイドーシスは原因不明の肉芽腫性疾患で多臓器に障害を及ぼすとされ、その中でも心疾患の合併は生命予後に大きく関与するとされている。徐脈性不整脈の一つである完全房室ブロックなどの心筋内伝導障害や心機能が進行性に低下する心臓サルコイドーシスに対し、副腎皮質ステロイド剤による薬物治療が奏功するとされてはいるが、その反面、長期間に投薬が及ぶことによる耐糖能異常、高脂血症、肥満、骨粗しょう症などの副作用の問題や薬剤中止時期などに関して確立された指針はない。またステロイド剤使用後に炎症が再燃した場合や十分な効果が見られない場合にその対処法として確立された治療指針はない。これらステロイド治療不能例や無効例に対し、免疫抑制剤であるメトトレキサート使用の有効性に関しての報告は以前より散在するが治療介入方法やその効果に関して確立されたエビデンスは十分とは言えない。我々は、サルコイドーシスの中でも心臓サルコイドーシス患者に主眼を置き、画像検査モダリテイーである18FDG-PET/CT撮像を行い、活動性炎症;SUV(standardized uptake value)とSUV集積部位の総量(TLG)の測定を行うことにより炎症部位や炎症の範囲を特定するとともに治療介入することにより、治療効果判定デバイスとしての18FDG-PET/CTの有効性とステロイド治療不能例や無効例に対するメトトレキサートの有効性を検討する。2016年10月より患者登録を開始し、2019年4月23日時点では新規登録した56人の心サルコイド患者のうち、39人の患者に対し半年後のFDG-PET撮像を終え、ステロイド治療に対する治療反応群と抵抗群の2群に分類をしたところトロポニンTが有意に治療抵抗群で高値であることが明かとなった (0.0175 ng/ml vs 0.009 ng/ml, p=0.047)。
2: おおむね順調に進展している
2016年10月以降のべ300人以上の患者の紹介があり、現在57人より臨床研究参加への同意書を取得済みで、40人の心臓サルコイドーシス患者に対し登録半年後のPET CT 撮像を終えており、問題無く研究は遂行出来ている。
継続して患者登録を行うとともにステロイド治療前、半年後、1年後の保存血液検体を使用して、既存のバイオマーカーよりも鋭敏な因子の検索を行う。
前年度は患者登録、血液検体の回収に専念したため。
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