2016年10月より心臓内にFDG異常集積を認めるCS患者(n=56)を前向きに登録し、治療前後でFDG集積部位の総量(total lesion glycolysis :TLG)を算出し、治療への反応性を評価する臨床研究を開始した。治療法としては心臓サルコイドーシスの診療ガイドラインに沿って、初期投与量:PSL 30mg/日で治療を開始し、4週間毎に 5mg/日 逓減、維持量とされるPSL 5mg/日時に 18FDG-PET/CT撮像(2回目)を再検し、TLGの減少率を算出した。TLG減少率が70%以上をresponder群 (R 群) 、70%未満の患者をpoor-responder群 (P-R 群)と定義し、P-R群に対しては強化療法としてさらにPSL再増量群とMTX介入群に無作為に分類をした。PSL再増量群に関しては再度30mg/日から治療を再開し、4週毎に投与量を5mg/日逓減、MTX群に関してはPSL 5mg に加えて一律 MTX投与量は6mg/週とし、1週間単位の投与量を1回または2回に分割して経口投与をした。またMTX群は副作用予防として葉酸 5mg/週の経口投与を行った。ランダム化の方法としては年齢・性別・登録時のTLG値で層別化したブロック無作為化法を採用し、半年間治療を継続後に18FDG-PET/CT撮像(3回目)を行い、再度 TLGの減少率を算出し、MTXの有効性を検討した。結果:介入研究登録後、半年間の治療で48人 (85.7%) がR 群、8人 (14.3%) がP-R 群に分類され、P-R群 (n=8)に対してはさらにPSL再投与群(N=5)とMTX投与群(N=3)にランダム化し治療を行ったところ、TLG低下率はPSL再投与群が59.9% であったのに対し、MTX群のTLG低下率は89.4% であった。また危惧された副作用はMTX群に一例も認めなかった。結語:CSに対し、1:半年間の PSL治療で約85% の患者に70% 以上TLG低下を認めた。2:代替治療としてのMTXはPSLへの反応性が乏しい患者群に対してもTLG低下率は約90% であった。
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