研究課題
抗凝固薬ワルファリンの薬効は個体間だけでなく、個体内でも大きく変動することが知られている。このため、ワルファリンの代謝酵素 (CYP2C9) ならびに作用標的 (VKOR) の遺伝多型をもとに反応性予測が行われたが、RCTで有用性は認められていない。一方、ワルファリンは光学異性体 (S体・R体) をもち、抗凝固活性はS体が5倍強い。また、それぞれの異性体代謝物にも抗凝固活性が認められる。そこで、研究に参加いただいた患者より提供頂いた血液の分析を行い学会発表を行い、2019年には研究データをまとめ以下のような趣旨の論文を作成し、掲載に至った。ワルファリンと代謝物の光学異性体を全て光学分割定量し、その血中濃度に個別の抗凝固活性を加味した“actual anticoagulant activity”を算出した。そして、PT-INR・ワルファリン週間投与量・actual anticoagulant activityの関係性を調べたところ、三者の間に指数関数式が成立することがわかった。ここでは、PT-INRが必要となるため、ワルファリン投与量の予測設定には不向きであるが、投与中に個体内変動が予想される患者などでの用量設定に有用になると考えられる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Internal Medicine
巻: 59 ページ: 293-296
10.2169/internalmedicine.3098-19
Journal of Thrombosis and Thrombolysis
巻: 47 ページ: 467-472
10.1007/s11239-018-1780-5