研究課題/領域番号 |
18K15395
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
郡山 豊泰 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 臨床検査技師 (60723616)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血小板 / microRNA / 炎症 / 感染症 |
研究実績の概要 |
血小板は、生体内の免疫応答に関与するのか―血栓形成、止血の大きな役割と共に、近年、種々の炎症巣に血小板が集積すること、免疫系細胞と協調的に働くことなどの現象が報告され、にわかに血小板の新たな機能=免疫担当細胞の可能性(immunothrombosisの概念)が議論されている。 これは、感染症に対する生体のプロセスに血小板は大きな役割を持っている、すなわち感染防御の一員であることを示唆する。一方、microRNAはこの10年であらゆる組織細胞で極めて重要な生理的機能を持つことが証明されてきた。免疫応答研究でも、microRNAが炎症応答に果たす役割、重要性は疑う余地がない。 血小板のmicroRNAの研究も蓄積されてきたが、その機能は未だ不明な点が多く、特に免疫的な役割から血小板のmicroRNAを扱った研究は見られない。本申請では、血小板のmicroRNAが「感染制御」を調節しているという仮説を、2年間の計画で分子学的手法を用いて検証する。 本年度は、ヒト巨核芽球細胞(Meg01細胞)およびヒト単核球細胞(U937細胞)を用いて、LPS刺激によるmiRNAの質的・量的変化を検討した。U937細胞ではLPS刺激によりmiR-218の発現を増強させることを明らかにし、Legionella属菌とU937細胞におけるmiR-218の機能変化について新たな知見を得た。以上のことを学術誌BBRCに報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度は、in vitroの実験が主として実施した。次年度に向けた基礎データを構築するためのものと考えている
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、ヒト巨核芽球細胞(Meg01細胞)およびヒト単核球細胞(U937細胞)を用いて、LPS刺激によるmiRNAの質的・量的変化を検討した。特に、U937細胞ではLPS刺激によりmiR-218の発現を増強させることが示唆された。さらにLegionella属菌とU937細胞におけるmiR-218の機能変化について新たな知見を得たので学術誌へ報告を行った。 次年度は、LPS濃度および刺激時間の設定条件から①Meg01細胞と②ヒト濃厚血小板(PRP;Platelet Rich Plasma)をそれぞれ刺激してmicroRNAのマイクロアレイ解析を行う。また得られた結果からqPCRによるmicroRNA発現量の確認をし、選択したmiRNAの機能解析を進める予定である。 次に、LPS刺激による血小板凝集の変化を観察するために刺激時間および濃度を検討した。また、PRPを用いたADP・コラーゲン・トロンビンにおける血小板凝集能を測定した。LPS刺激によるPRPでの血小板凝集能は、ADPにおける凝集能の増強がみられた。また健常人ボランティアより採血したPRPを用いて、洗浄血小板の作製を検討し、同様にLPS刺激による凝集能の変化を検討予定である。
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