研究課題
ddPCR及び、NGSによるBCRの再構成の検査系を、名古屋医療センターとの共同研研究にてほぼ確立しました。過去検体での検討にて有用性がある程度確認できたため、実臨床での有用性を確認するために、診断が困難な悪性リンパ腫を疑う患者に対する多施設の前向き、臨床試験(LILY4 study)を立ち上げました(UMIN000040061)。臨床試験の概要としては、3週間以上継続する古典的不明熱で、LDH高値の患者で、かつ、血液内科専門医が悪性リンパ腫と積極的に疑う患者に対して、血管内リンパ腫などの節外性リンパ腫に多いとされる、MCDパターンのリンパ腫で陽性となる、MYD88とCD79Bの変異をddPCRで検討するとともに、NGSを用いてBCRの再構成を3週間以内に検討するとともに、20症例ごとに症例を蓄積毎にNGSを用いて血液疾患腫瘍遺伝子パネルで解析する方針としました。現在、登録施設は約20施設となっており、年間20症例(1施設1症例の)で、2-3年での患者等登録をめざしており、2019年度の10月から開始し、3月末で6症例の登録です。2019年度3月末での6名での解析では3名は、検査が陽性で、Liquid biopsy陽性で、診断はIVLでした。3名はLiquid biopsy陰性で、そのうち2名は非B細胞リンパ腫、1名は診断が未だついていない疾患です。陽性患者3名中、2名は診断に非常に苦慮した症例であり、Liquid Biopsyが陽性であったことで、何度も皮膚生検、骨髄生検を行うことで診断にたどり着くことができ、本研究の実臨床への有用性が期待できる症例でありました。また、本研究にて確立した検査系を用い、臨床試験外での検討症例においても、Liquid biopsyが陽性である事から、診断および、治療に移行した症例を2例経験し、確実に救命に貢献しました。
2: おおむね順調に進展している
Liquid Biopsyの系を確立することができ、前向きの多施設共同研究を開始することができている。また、参加施設も約20施設と順調に数を増やすことができている。登録症例数が、まだ開始まじかであり、伸び悩んではいるため、「おおむね順調」の判断とした。
今後の方針として、臨床試験を臨床試験を遂行していく。患者数の組み入れが少ない場合は、参加施設の追加リクルートや、参加施設へのリクルートのお願いも積極的に行っていく。また、確立した検査系を用いて、別の検体(髄液、尿など)でより精度を高めつつ検討していく予定である。
本年度に関しては、科研費とは別に、繰り越し不可能な単年の競争的資金を大学内よりいただく事が出来た為、優先的にそちらを使用して研究を行ないました。また、次年度に関しては、検査系が確立し、前向き臨床試験を行っていくために、より経時的に費用がかかる事が予測されているので、そのためにも本年殿予算を繰り越しました。
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