研究課題/領域番号 |
18K15405
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
平山 貴敏 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (80794750)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 行動活性化療法 / うつ病 / がん患者 / 精神腫瘍学 / サイコオンコロジー / サバイバーシップケア / 心理療法 / サイコセラピー |
研究実績の概要 |
【研究の目的】行動活性化療法は、主に非がん患者の抑うつに対して有用性が示されているが、がん患者への介入試験は乏しく、国内では治療マニュアルも存在しない。さらに、がん患者の抑うつを改善させるメカニズムは解明されていない。そこで、私たちは国内で初めてがん患者に対する行動活性化療法プログラムを開発した。本研究の目的は、行動活性化療法の国内のがん患者に対する実施可能性と有用性を検証し、がん患者の抑うつを改善させるメカニズムを解明することである。
【研究実施計画】行動活性化療法プログラムを用いた前後比較試験を行い、研究期間内に目標症例数を達成する。その結果を分析し、抑うつを改善させるメカニズムを解明する。そして、より効果的な行動活性化療法プログラムを開発する。2018年度から開始する前後比較試験では、軽症以上の抑うつを有するがん患者に対して、計7回の行動活性化療法プログラムを行う。その結果、primary outcomeの抑うつの重症度を測定する尺度HRSD(Hamilton Rating Scale for Depression)の寛解割合が、行動活性化療法プログラム実施後に30%以上(先行研究より設定)であれば有用性があると判断する。本研究と同様にHRSDをprimary outcomeとする先行研究を踏まえ、予定登録数を32例とした。
【2021年度に実施した研究成果】2018年度より行動活性化療法プログラムを用いた前後比較試験を開始し、2021年度に予定登録数32例を達成した。HRSDの寛解割合が62.5%(20/32)と30%以上であったため行動活性化療法プログラムの有用性が示唆された。プログラムの完遂割合は75% (24/32) と先行研究と同等であり、実施可能性が示唆された。有害事象は生じなかった。現在解析結果をまとめて、論文化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に予定登録数である32例を達成しており、行動活性化療法プログラムの有用性と実施可能性が示唆される結果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度中に解析結果をまとめて論文化し、査読付きの国際雑誌に投稿する予定である。
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