研究課題/領域番号 |
18K15415
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 将史 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50815462)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / ウェアラブルデバイス / 心拍変動 / 自律神経機能 / 早期診断マーカー |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)患者と他のパーキンソン症候群、コントロールを対象にウェアラフルデバイスを装着し心拍変動および活動状態、運動量を取得した。デバイスはPOLAR V800 HR(Polar Electro)を使用し、安静睡眠時、日中覚醒時を含め24時間程のデータを取得した。またPDの運動機能評価としてパーキンソン病統一スケール(Unified Parkinson's Disease Rating Scale:UPDRS)を、睡眠状態の評価としてParkinson’s Disease Sleep Scale (PDSS)、Epworth Sleepiness Scale (ESS)、16-item Parkinson Fatigue Scale(PFS-16)を記録した。一部の対象ではウェアラブルデバイスから得られる心拍変動のデータと既存の自律神経機能検査のデータの比較や整合性をみるために、心筋MIBGシンチグラフィー、ヘッドアップチルト試験等の自律神経機能検査を評価した。得られた心拍変動からCVR-R、SDNN、RMSSDといった複数の心臓副交感神経パラメーターを計算し比較を行った。また立位や歩行等に分類した活動状態から1日あたりの運動強度を計算し比較を行った。コントロールと比較しPDではCVR-Rを含む複数の心臓副交感神経パラメーターと運動強度が有意に低下していた。既存のウェアラブルデバイスを用いて長時間の心拍変動を記録することにより、PDの心臓副交感神経障害を検出できる可能性が示唆された。今後は年齢、罹病期間、重症度を含めた検討や、心臓副交感神経パラメーターと運動強度との関連、PDSS・ESS各種スケールとの関連についても検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウェアラブルデバイスを用いて長時間の心拍変動を記録することにより、PDの心臓副交感神経障害を検出できる可能性を示すことができた。一方で、年齢、罹病期間、重症度を含めた検討や、心臓副交感神経パラメーターと運動強度との関連、PDSS・ESS各種スケールとの関連を検討するため、さらに症例数を蓄積していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
症例数を増やした上で、年齢、罹病期間、重症度を含めた検討、心臓副交感神経パラメーターと運動強度との関連、PDSS・ESS各種スケールとの関連について検討を行っていく。また自律神経機能の変動自体がPDでは低下している可能性があり、各パラメーターの最小値と最大値の差や比についても解析を行うことでPDにおける自律神経機能変化の特異性を明らかにしていく。心臓副交感神経パラメーターの解析が十分に可能であれば、周波数解析を用いて心拍変動データの解析を行い、心臓交感神経パラメーターの検討も行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 各種検査に要する機材を既存の備品を使用することができたため経費が抑制された。 (使用計画) 未使用額については令和元年度に研究データ入力者の人件費に使用する予定である。
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