パーキンソン病(PD)患者とコントロールを対象にウェアラブルデバイスを装着し心拍変動および活動状態、運動量を取得した。デバイスはPOLAR V800HR(Polar Electro)を使用した。またPDの運動機能評価としてパーキンソン病統一スケール(Unified Parkinson's Disease Rating Scale:UPDRS)を、睡眠状態の評価としてParkinson’s Disease Sleep Scale (PDSS)、Epworth Sleepiness Scale (ESS)を記録した。一部の対象ではウェアラブルデバイスから得られる心拍変動のデータと既存の自律神経機能検査のデータの比較や整合性をみるために、心筋MIBGシンチグラフィー、ヘッドアップチルト試験等の自律神経機能検査を評価した。得られた心拍変動からCVR-R、SDNN、RMSSDといった複数の心臓副交感神経パラメーターを計算し比較を行った。また立位や歩行等に分類した活動状態から1日あたりの運動強度を計算し比較を行った。 コントロールと比較しPDではCVR-Rを含む複数の心臓副交感神経パラメーターと運動強度が有意に低下していた。既存のウェアラブルデバイスを用いて長時間の心拍変動を記録することにより、PDの心臓副交感神経障害を検出できる可能性が示唆された。活動状態を含めた解析では、PDの心臓副交感神経障害は安静時よりも、副交感神経機能が抑制される覚醒時により検出しやすことを示すことができた。 またウェアラブルデバイスから得られた心拍変動と活動状態から、睡眠時間を仮定し検討を行った。睡眠時間と仮定された値とPDSS、ESS等のスケールに有意な相関を見出すことができた。ウェアラブルデバイスを用いた心拍変動と活動状態の評価が、PDの睡眠障害の評価として有用である可能性が示唆された。
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