本研究の目的は、がん患者の精神問題について、心疾患患者の状況と比較して、問題点やその特徴を明確化することである。入院や在宅で療養するがんや心不全患者は高齢者も多く、主疾患の治療だけでなく痛みやせん妄などに対応するため多剤併用例も多くみられ、薬剤由来の有害事象の懸念がある。特にせん妄や緩和医療でも汎用される精神科系薬の有害事象は致死的な場合があるため、その一つである悪性症候群の発生状況を評価した。非定型抗精神病薬の登場以来、悪性症候群の発生は減っている傾向が見られたが、悪性症候群の報告そのものが少なく、非精神科専門医には見逃されている可能性も示唆された。
|