研究課題/領域番号 |
18K15429
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
志村 華絵 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (90644328)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 世代間交流 / 幼老複合施設 / 認知症 / 老年医学 |
研究実績の概要 |
これまでに、①専門医に対する質問紙調査、世代間交流を行っている施設に対する質問紙調査、②世代間交流に参加した成人に対する質問紙調査、③国内及びドイツにおける施設視察、を行った。各項の概要については以下の通りである。 ①各学会の専門医名簿より無作為に抽出し、老年病・神経内科・精神科・小児科各専門医1491名に調査を行った(回収率 20.5%)。少子高齢化社会において非常に興味深いとの意見が目立った。予想されるリスクとして感染症・危険行為を挙げた意見が非常に多く、職員の育成も課題であるとの考えが寄せられた。また、全国73施設に匿名で質問紙調査を依頼した(回収率 13.7%)。集計結果を日本世代間交流学会第10回大会で発表した(令和元年10月6日)。日本世代間交流学会より論文投稿の依頼があり、現在研究成果を執筆中である。 ②神奈川県健康増進課 認知症戦略グループが主催する、「幼稚園・保育所等における子どもを通じた認知症未病改善事業」の成人参加者を調査対象とし、世代間交流事業の成人参加者に対して質問紙調査を行った。本事業は、幼稚園や保育所等の園児と高齢者が共に、音楽療法士によるデュアルタスクを体験するものである。 ③平成30年度及び令和元年度に国内10施設の視察を行った。ドイツは7施設に依頼したが、1施設のみが受け入れ可能であった。令和2年度は緊急事態宣言が発出されており、国内外ともに施設の視察が受け入れられなかった。 研究代表者の妊娠、出産に加えて新型コロナウイルスの感染拡大により、令和2年度は調査や視察が非常に困難で、研究を計画通り行えなかった。令和2年1月以降、妊娠初期の体調不良と妊娠障害が続き、その後、産前・産後休業と育児休業に伴う研究中断期に入っており、研究の再開は令和4年4月を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1. 令和2年1月以降、妊娠初期の体調不良と妊娠障害が続いた。遠方の施設視察や学会・研究会への出席を中止した。 2. 令和2年7月から産前休業を取得し、同年8月に出産した。その後、産後休業に続いて同年10月より育児休業を取得している。産前・産後休業中及び育児休業中は、出張や介入研究が難しいのみならず当初の計画通りに研究を遂行することが困難で、経費を使用しなかった。この期間は、世代間交流及びコロナ禍における世代間交流の変化について知見を深めることに注力した。 3. 新型コロナウイルス感染拡大に伴い緊急事態宣言が発出され、在宅勤務を中心とした。また、学会や研究会が延期・中止されたため、発表の機会を得ることが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、①幼老複合施設の本邦及びドイツでの現状を把握し、②幼児と交流を持つことによる高齢者特有の病態の発症抑制もしくは増悪抑止効果を中心に、他の内科疾患に関しても未知の医学的効果をランダム化比較試験により検討することを目的とし計画してきた。また副次的に、高齢者が幼児の成長へ与える影響及び予想される有害事象も検討予定である。 ところが、研究代表者の妊娠・出産に加えて新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世代間交流施設の視察や介入試験が困難となった。令和2年3月中旬より産休・育休に伴う研究中断期に入っており、研究の再開は令和4年4月を予定している。 最終年度におけるランダム化比較試験は、研究の性質及び新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、実施可能なスタディデザインに変更する必要がある。残りの交付期間内にまとめられるよう、研究計画の見直しや修正を行いたい。 医療現場と同じく世代間交流事業にも新型コロナウイルス感染拡大による影響は大きい。その点を今後の調査にも組み込んでいくことができれば良いと考える。具体的には、これまで質問紙調査に協力いただいた施設を中心に、新型コロナウイルス感染症拡大前後で世代間交流の形や事業にどのような変化が見られたか、追跡調査を行いたい。 専門医に対する質問紙調査は、専門医ごとに結果のサブ解析を行い、各専門分野の学会で発表予定である。施設・専門医への両質問紙調査結果と施設視察内容を総合し、内科・老年病関連学会で発表の後に論文化する予定である。引き続き学会を通して関連領域の研究者と学術的交流も進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
産前・産後休業中及び育児休業中は経費を使用しなかったため、令和元年度からの繰越および令和2年度使用予定の助成金を合わせた額を次年度繰越金とした。この繰越金は研究再開後、新型コロナウイルス感染の収束を待って、今年度行うことのできなかった介入研究、施設視察や出張のための旅費等として使用したい。
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