研究課題/領域番号 |
18K15430
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
高木 徹 埼玉医科大学, 保健医療学部, 助教 (20536891)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 細胞傷害性T細胞 / FACS / がん |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヒト固形がんのほぼすべてに発現しているがん抗原WT1 に着目し、WT1特異的CTLを用いた細胞傷害性試験を行い、同時に免疫チェックポイント 分子の発現を確認し、そのデータがテーラーメイド医療に繋げることができるかどうかを明らかにすることである。 HLA-A2拘束性CTLの実験系 では、インフルエンザウイルスのM1タンパク質を発現する組換えアデノウイルス(Ad-M1)を、HLA-A2トランスジェニックマウスに免疫し、1週間後に脾臓を摘出して脾リンパ球をプライマリーCTLとして用いる。そして、GFPを発現したHLA-A2発現細胞を標的細胞とする。今までは、この実験系で、標的細胞の生死をPI染色によって評価してきた。しかし、より早期の生死が判定できること、およびマルチパラメーターに対応しやすいことなどの理由で、アポトーシスのマーカーであるAnnexin-VとCaspase-3 抗体を用いて検出する。Annexin-Vにおいては、CTLとGFP発現標的細胞を混合し4時間インキュベーションした後に、ラベル抗体にて染色し、flow cytometerにて測定する。Caspase-3では4時間インキュベーション後に、膜の透過処理を行い、ラベル抗体にて染色しflow cytometerで測定する。次に細胞傷害性試験と同時に、CTLの免疫チェックポイント分子 (PD-1, CTLA-4, Tim-3, LAG-3, B7-H3, DC-HIL)の測定を行う。これはCTLとGFP発現標的細胞を混合すると同時に、ラベル抗体を入れ4時間インキュベーション後に測定する。そして、どの組み合わせで行うのが最適か比較検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
10月に異動になり施設に機器や設備が整っていないのが大きな理由である。 実験としては、従来のPI/GFP法では非特異的に標的細胞がPIで染色されてしまうことが判明した。その解決方法として、何種類かの死細胞を染める染色液を用いて再度アッセイ系を構築した。7-AADやCFSE、Vidなどを試したところ、CFSEで非常に効率よく死細胞を染色できることが判明した。この方法を用いることにより、標的細胞にGFPを発現させることなく細胞傷害活性を測定できるようになった。方法としては、ペプチドをパルスしていない標的細胞に薄い濃度のCFSEを、ペプチドをパルスした標的細胞に濃いCFSEをラベルし等量混ぜ合わせたものとCTLを反応させた。FACSでペプチドパルスしていない標的細胞を規定量測定することで、傷害されたペプチドパルスした細胞の減少を測定する方法である。この方法により問題は解決されたので、HLA-A2実験と並行しつつ、HLA-A24の実験も開始させる予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度はHLA-A24の実験も並行して開始する予定である。まずはHLA-A24を発現する標的細胞の作製をする。この細胞株にGFPを発現するベクターを導入する。GFP発現細胞をセルソーターで採取しクローニングして、HLA-A24/GFP発現標的細胞を作製する。その後、HLA-A24トランスジェニックマウスをAd-M1で免疫し、1週間後に脾臓を摘出して脾リンパ球をプライマリーCTLとして用いる。そして、HLA-A2と同様な実験を行い、HLA-A24についても問題なく測定できるかどうかを明らかにする。 HLA-A2についてはさらにCFSEラベルした標的細胞についてこれまでの実験を行う予定である。Annexin-Vにおいては、CTLとCFSE発現標的細胞を混合し4時間インキュベーションした後に、ラベル抗体にて染色し、flow cytometerにて測定する。Caspase-3では4時間インキュベーション後に、膜の透過処理を行い、ラベル抗体にて染色しflow cytometerで測定する。次に細胞傷害性試験と同時に、CTLの免疫チェックポイント分子 (PD-1, CTLA-4, Tim-3, LAG-3, B7-H3, DC-HIL)の測定を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
残額が1万円以下なので、次年度に繰り越し使用するようにした。
|