通信を基盤とした認知症予防方略の開発と効果検証

2022 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K15435
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 牧野 多恵子 東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 講師 (70735406)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 認知症予防 / 非薬物療法 / 高齢者

研究実績の概要

高齢化の進展に伴い、認知症有病者のさらなる増加が見込まれ、有効な非薬物的認知症予防対策が検討されている。自治体による介護予防教室を中心とした予防活動が一定の効果を有していることが報告される一方で、通い型教室に参加する高齢者数が伸び悩んでいる実態もあり、通い型と同等の機能および効果を有する在宅型介入形態の開発が求められる。本研究の目的は、在宅型の非薬物的認知症予防方略として、通信媒体を用いた複合的トレーニングプログラムを開発し、その有効性を検証することである。
2022年度は地域在住高齢者を対象とした介入研究を実施することを予定していたが、昨年度から引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響から見合わせざるを得ない事態となった。しかし研究協力者および機関との打ち合わせ、および文献研究を精力的に進め、補助事業期間延長承認を得、来年度に介入研究を実施する予定としている。
並行して、高齢者の認知症予防行動に対する意識と実態に関する既存データの解析を進めた。調査対象者のうち8割強が認知症予防行動の有効性を認識しており、属性により有効と認識される認知症予防行動の種類が異なることが示唆された。これら結果の公表に向けて、現在論文投稿を進めている。
新型コロナウイルス感染拡大の最中にあって、在宅型の非薬物的認知症予防方略のニーズがより高まっている。プログラム開発において、社会情勢の変化に伴う高齢者の行動変容も考慮していく必要がある。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス感染拡大における社会情勢の影響が大きく影響し、進捗が遅れている。介入研究を延期する必要があり、かつ研究協力者・機関間の議論・検討もオンラインにて進めているが、効率性が下がってしまっている。達成度としては遅れていると言えるが、補助事業期間延長承認を得たため、議論・検討をさらに深めつつ、質の高いプログラム開発を目指した作業を進めていく方針としている。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス感染拡大における社会情勢の影響が大きく影響し、進捗が遅れていることから、補助事業期間延長申請を行い、承認を得た。感染症対策の対処方針が変更となり、介入実施の目途がある程度立ったため、来年度に介入研究を実施することとする。高齢者の認知症予防行動に対する意識と実態に関する既存データの解析結果の公表は、着実に進められるよう作業を進める。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大による影響から、参加予定であった国際・国内学会への参加を取り止めたこと、また研究協力者との打ち合わせ等をオンラインにて行ったことから、要する予定であった交通費・学会参加費が不要となった。さらには研究自体を休止せざるを得ない情勢もあり、研究費を使用する機会が乏しくなった。次年度に延期した介入研究にかかる経費、および成果公表のための学会参加費、研究論文の英文校正費・掲載費に使用する。